【2023年11月20日更新】
この業界で働いていると、「Webライターに学歴は必要ない。高卒でも大丈夫だ」との意見はよく耳にします。実際に高卒Webライターとして5年以上働いている私からすると、この意見は正解でもあり不正解です。
大卒の人のほうが、Webライターに有利なスキルを身に付いているケースは多く見かけます。また、学歴フィルターを実施するクライアントもゼロではありません。しかし高卒であっても、書く仕事での生活は不可能ではないと私は考えています。高卒からWebライターに挑戦したい人は、少しずつでも始めてみてはいかがでしょうか。
本記事では学歴なし指1本タイパースタートから2023年までの実体験などを基に、高卒Webライターについていろいろと解説します。あくまで実体験ベースのお話ですが、これからWebライターを始めたい人の参考になれば嬉しいです。
Contents
Webライターを高卒でも始められる理由
高卒からWebライターになる方法として、ライティング業務がある会社へ就職しインハウスライターになるか、記事の発注者と業務委託契約を結んで専業・副業のいずれかで活動するかの2択があります。多くの人は、雇用契約に縛られないフリーランス系のWebライターを思い浮かべるのではないでしょうか。
極論を言えば、専業・副業Webライターになるのに手続きは必要ありません。プロジェクトに応募し採用されれば、Webライターとして働けます。開業届を出さなくても大丈夫です(出しておくと税制面や信頼面で有利にはなる)。
ここからは私の経験談を基に、高卒でもWebライターを始められる理由を解説します。ただし、ここで解説するのは「始めるだけ」の話です。継続して活躍できる高卒Webライターになるには、大きな覚悟と実力が必要になると考えています。
Webライターになるだけなら学歴や資格は関係ないから
フリーランス系のWebライターは、名乗ったその日からライターとして活動できます。学歴や資格は関係ありません。文章力、リサーチ力、取材力、考察力、専門知識などの実力が備わって入れば、高卒であってもさまざまな媒体で執筆ができます。
ただし、Webライターを名乗ったからといって仕事が簡単にもらえるわけではありません。むしろ経験・実績のない高卒Webライターが、大卒・キャリアのWebライターを押しのけて仕事を得るには、実力と工夫が必要になるでしょう。
Webに書く文章の需要は伸びているから
近年、インターネット上にはさまざまな情報が飛び交っています。そして情報量に比例して情報を伝えるための文章も溢れており、企業・個人にかかわらず多くの人が日々文章を生み出しています。つまりWebライターの仕事は、どこにでも需要があるのです。Web関係のライティングの仕事例を見ていきましょう。
- 企業のオウンドメディア(自社で保有するメディア)のコラム記事
- 個人ブログの記事
- メールマガジンの文章
- SNS投稿用の文章
- You Tube動画の台本や漫画動画のシナリオ
- ゲームのシナリオ
- 企業の商品紹介用のホワイトペーパーPDFの説明文
- 企業のキャッチコピー
- 求人サイトの求人広告
- 経営理念・企業概要などのコーポレートサイトの文章
上記の仕事以外にも、Web関係で文章が必要になるケースは多々あります。さらにクラウドソーシングやSNS上だけでなく、地元のWeb制作会社や個人商店のブログ記事、これからWeb上での商売を考えている企業など、クローズドな場所での仕事が隠れているケースも少なくありません。
私が実際に高卒のWebライターだから
あくまで個人的なケースなのですが、私自身が高卒のWebライターとして5年以上活動している実績があります。
「高卒って言っても、進学校に通ってたり、有名大学を中退したりの経歴じゃないの?」と思われるかもしれません。しかし私の経歴は、偏差値が下の中くらいの実業高校を卒業し、その後約10年間食品工場の機械オペレーターとして働くという、文章やマーケッターなどとは無縁の経歴です。学歴と呼べる学歴もほとんどありません。
タッチタイピング(ブラインドタッチ)は、仕事を退職してから練習しました。Webライターを始める前は、指1本タイピングでパソコンをいじるのが精一杯というレベルです。小論文なんて書いたことはなく、仕事はもっぱら肉体労働か機械いじり。実業系の高卒社会人です。
とはいえ、趣味で小説を(指1本で)書いたり小説を読んだりなど、読み書きに対してさほど抵抗がなかったのは大きかったと思います。文章に興味がないのに、Webライターを始める人のほうが少ないかもしれませんが…。
「高卒の私ができたから、あなたもWebライターで成功する」とは口が避けても断言しません。一方で「高卒じゃ絶対に成功しない」とも言いません。Webライターに興味がある、文章を書く仕事をしたいという人は、学歴に関係なくぜひ挑戦してみましょう。
少しずつ実績を重ね、「これからも収入は十分に得られる」「書く仕事で行きていきたい」と思う人は、そのときに初めて独立するかを検討しましょう。
▼あなたにおすすめの記事!
「クラウドワークスの悪質案件とは?具体例や怪しいクライアントの見分け方を解説|アヒルクエスト」
高卒Webライターが実績を作るために必要なこと
私の体感として、知識・経験が豊富な大卒の人は、Webライター業界でも有利なポジションを取りやすいと思います。大学で得られるコミュニケーション能力、学習能力、研究経験に加え、大学を出ていないと就職できない仕事の経験など、Webライター業界で活せるスキルをすでに備えている人材が多いからです(もちろん個人の能力差はあります)。
そこでここからは、高卒Webライターとして生き残る方法として、高卒Webライターの実績を作り上げるために必要なことをまとめました。仕事を取るには営業力や人脈づくりのほうが効果的に働きますが、継続案件や信頼を勝ち取るために必要なのは結局ライターとしての自力です。まずは地盤を固めることを、個人的にはおすすめします。
Webライターとしての基本を身に付ける
Webライターとして仕事を得るには、Webライターとしての基本を身に付けないと話になりません。最低限レベルの文章の書き方は勉強しておきましょう。具体的には、中学校レベルの国語力です。中学レベルなら、高卒または中卒の人でも一度は触れたことがあるでしょう(触れたことがなくても問題はないと思います)。
近年では、Webライターに関する書籍やブログ記事が簡単に読めるようになりました。勉強に必要な教材はたくさんあるので、あなたに合う教材を選んでください。また、Web記事や新聞、実用書などを読んで語彙力を伸ばすのも効果的です。中には高額のスクールや情報商材も存在しますが、詐欺に近いものも多いので注意しましょう。
以下では高卒の私が実際に読んだ上で、Webライティングの基本を身に付けるのに最適だと思った書籍をご紹介します。
【クラウドワークスのWebライター検定を監修したプロ集団グリーゼの本】
【コミックナタリーの初代編集長からWeb文章の書き方を体系的に学ぶなら】
無料かつ動画で学びたいなら、クラウドワークスが無料で提供する「Webライター検定3級の講義動画」を見るのがよいでしょう。
【あなたにおすすめ!】
自分の得意分野を1つ作る
学歴・実績のない高卒ライターが「なんでも書けます!」といっても、説得力を出すのは難しいです。そのため、自分が得意とする執筆分野を1つ作ることをおすすめします。1つの分野を重点的に執筆し実績・経験を積むことで、積み上げたものを使って新しく営業をかけられます。
私の場合だと、自身の転職経験を活かして転職系の記事を重点的に受注していました。すると転職記事の実績を使って他の案件に応募できたり、「他の分野も書いてみませんか?」と相談されたりなど、仕事の幅が広がったのを覚えています。
必要だと思う資格は勉強してみる
Webライター活動に資格は必要ないものの、資格を持っていたほうが有利なのは間違いありません。資格を勉強するメリットは次のとおりです。
- 公的かつ客観的に知識や経験をアピールできるから
- 資格勉強の過程で知識や見聞が広がり、執筆に使えるネタが身に付くから
- Webライティングの仕事には、「税理士資格取得者優遇」「医療系資格を持っている人を求む」といった資格取得者が有利な案件があるから
私も実際に、WebライターになってからFP2級や証券外務員一種の資格を取得したことで、FP資格者限定の案件やその他金融系の執筆が一気に増えました。高卒は学歴がないからこそ、資格といった別の武器を使うことが大切になると思います。
WebライターがFP資格を取得するメリットについては、「WebライターとFP資格の相性|元現場作業員が金融分野の記事を任されてるのは本当?」の記事にまとめています。
【ポンコツ体験談】高卒Webライターとして働き始めた最初の1年頃の私
ここからは参考データとして、高卒Webライターとして活動し始めた2018年頃の私の体験談をリアルにお伝えします。退職金と失業保険でダラダラ過ごしながら、少しずつ動いていきました。なおかなり特殊なケースなので、他の人ならもう少し効率よく動けると思います。
2017年秋頃~2018年年始めはタイピングと文章の練習
退職してから「高卒だけどWebライターとして活動しようかな」と思い始めた2017年の秋頃、タッチタイピングができないと仕事もままならないと思い、タイピング練習をスタートしました。最初のレベルは「キーボードを見ながら指1本でポチポチ」です。
また、並行して文章の勉強&練習も進めています。ブログを開設を開設した後、文章術の本を読んでブログ記事やWordを書くというサイクルです。他のプライベートの用事等を片付けながら、半年程度の簡単な下積み期間を取ることとなりました。高卒といっても実業系の高校だったので、高校分野の国語などをほぼ学習していなかったのもあり…。
当時はブログアフィ全盛期だったので、文章について調べると、どこも「WordPressブログをやれ」と書いてありましたね。なので、深く考えずにこのアヒルクエストを開設したわけです。ブログ立ち上げの設定は私にとって難しく、今からもう一度やれと言われると自信がないレベルです。
その後はAdSenseやAmazonアソシエイト、A8ネットなど、ブログ収益化の王道の申請を調べながら行い、無事通過しました。
▼タッチタイピングや独学関係の記事はこちら
クラウドソーシングサイト「クラウドワークス」へ登録・初仕事受注
2018年6月、クラウドソーシングのサイト「クラウドワークス」と「サグーワークス」に登録しています。仕事はクラウドワークスを通じて初受注しました。いきなりプロジェクト案件に応募したのを覚えています。
見事に「初心者」の文言に踊らされたのですが、このときは「なんでも良いからやってみよう」の精神。しかし、(報酬以外は)意外と親切なクライアントで、未熟な私にもいろいろ指導してくれたり、質問に答えてくれたり、辛抱強く私と接してくれました。こちらが初めての入金記録です。
スタートの仕事で挫折しなかったのは、悪質過ぎるクライアントに当たらなかった運の強さもあるんだなと思います。
サグーワークスのプラチナライターに落ちる、プロクラウドワーカーになりそこねる
サグーワークスには、高単価の仕事を受けられるようになるプラチナライター制度があります。こちらの試験に挑み、普通に落ちました、その後も4回ぐらい受けましたが、全部落ちました。そこから諦めて、クラウドワークスとランサーズを中心に活動することに。
「そろそろクラウドワークスのプロクラウドワーカーも狙えるんじゃね?」と思っていた2019年4月、普通に認定されなくて落ち込むというね。プロジェクトの選考にも落ちまくるし、辛い時期でしたね。とはいえ、同年7月にはプロクラウドワーカーの認定を受けました。
プロクラウドワーカーの認定は、今後Webライター活動を行っていく上での自信になったことを覚えています。その後はTOPプロクラウドワーカーへの選出やWebライター検定合格など、クラウドワークス関係の認定・資格を一通り網羅できています。
▼体験談はこちらから
そこから2023年までWebライターとして駆け抜ける
最初の1年をなんとか乗り越えた後は、ポンコツぶりを発揮しながら高卒Webライターとして6年目を迎えようとしています。記名記事執筆、執筆ジャンル拡大、FP2級や証券外務員一種取得など、一歩ずつ自己研鑽をしつつ、ここまで生き残ることができました。
2024年以降はAI台頭やSEOの変化、インボイス制度スタートなど、Webライターを取り巻く環境は厳しさを増しています。ここから私がどうなるかはわかりませんが、少しでも高卒Webライターとして活動ができればと思っています。
Webライターは大卒のほうが有利だが高卒でも頑張れる
正直な感想を言うと、高卒という学歴(というか大学での経験を積んでいない事実)は、Webライターを始める上で不利なのは否めません。
信頼・能力の面で、大卒の人たちと大きな差を痛感することもばかりです。事実として、実力派のWebライターは有名大学・国立大学卒業の人が多数います。また、金融・不動産・Web系会社など大卒でないと入れない会社出身の人も、ガンガン活躍しています。
しかしそのような中でも、5年間はなんとか食いつないげました。運が良かったのは承知です。しかし、高卒という学歴・経歴を理由に、Webライターを諦める必要はないと思います。「これからWebライターを始めたい!」という人にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
▼あなたにおすすめ!