歴5年Webライターが語る現実|人口や詐欺案件などキラキラの裏にある実情とは?

Webライターの現実は甘くない。人口や詐欺案件の実情を紹介 ライター経験談

【2024年2月26日更新】

Webライターを始めると、「稼ぎたい」「稼げる!」という言葉を耳にする機会が増えると思います。ここで「Webライターって稼げるんだ!」とプラスに捉える方もいれば、「本当に稼げるんだろうか?」「思うように収益が出ない」と、マイナス寄りの考えになる方もいるでしょう。

私はかなりマイナス寄りの思考なので、Webライターとして活動した5年間は、常に不安を抱えながらの業務でした。在宅で誰でも月収100万円稼げる、スキルがなくても始められると発信する方を見ると、「100%嘘ではないけど、現実的ではないよな」と思ってしまうのが正直なところです。

そこで本記事では年収・人口や詐欺案件など、私が個人的に思うWebライターの現実・実情をまめとめてみました。

  • 誰でもこんなに稼げる!
  • 未経験でも大丈夫!
  • 〇〇万円稼いだから凄いライター!

上記のようなことを言うつもりはありません。

むしろ曲がりなりにも5年間この業界で仕事する中で、「未経験・高卒でもできる」といった発信は、無責任にしてはならないと強く感じているところです。とはいえあくまで個人の感想レベルの話なので、お気軽にお読みください。

稼げるは嘘? 本当? Webライターの年収や人口について考察

Webライターの平均年収は大体200~400万円

Webライターが稼げるか嘘かを判断するには、個人の体験談に加えて、何かしらの統計データをあたるほうが正確に把握できます。Webライターの現実・実態として、年収・人口から闇の面を考察していきましょう。

Webライターの年収に関する考察|「稼げる」は現実か嘘か

Webライターの「稼げる」が現実か嘘かの判断材料として、雇用契約(正社員など)や業務委託契約(請負契約など)および本業・副業を含めた、全体的なWebライターの年収事情を簡単にまとめてみました。せっかくの機会なので、年収・月収に関するデータを集められるだけ集めています。

Webライターの年収の掲載サイト平均年収等
求人サイトはたらいく(2014~2015年)」のライター・記者・編集者259万円
マイナビ転職の「職種別 モデル年収ランキング673万円
Webライタープラットフォーム「ライターステーション」の記事300万円
フリーランス協会の「フリーランス白書2023」のデータクリエイティブ・Web・フォト系で年収400万円未満と答えたのが52.2%
・出版・メディア系で年収400万円未満と答えたのが59.5%
・フリーランス全体では、年収200~400万円未満が約3割、400~600万円未満が約2割
株式会社Wooの「副業ライター500人へのアンケート・月収0~4,999円が254人と半数以上
・月収3万円以上は51人とほぼ10分の1
株式会社IAMmedia「Webライター200人実態調査毎月のWebライターの報酬が5万円以下と答えた人は188/200と9割以上
リクルートワークス研究所の「データで見る日本のフリーランス」の全体職種298万円
公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁の「令和4年度フリーランス実態調査・400万円未満が52%
・800万円未満が75.9%
内閣官房の「フリーランス実態調査結果・200万以上300万未満が19%
・100万以上200万未満」が16%
・100万未満が16%
・300万以上400万未満が16%、500万以上になると20%
ランサーズの「働き方調査2023・月収5万円未満が38%
・月収21~50万円以下が21.3%
ランサーズの「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版クリエイティブ職(写真・動画・ナレーション・ライター等)は198.6万円

フリーランスWebライターに関しては平均年収200~400万円が相場でしょうか。ただし副業ライター込みのデータもあるので、専業フリーランス一本に絞ればもう少し高いかもしれません。しかし、思ったよりもフリーランスWebライターの年収が低いと思う方も多いのではないでしょうか。

国税庁の令和4年分 民間給与実態統計調査によると、日本人の平均年収(平均給与)は458万円です。さて、この数値と比べて200~400万円が高いか安いか、自由な働き方と合わせてどう判断するかはあなた次第です。

一方でマイナビ転職の正社員記者・ライターだと673万円と高めの数値が出ています。SNS等を見ても、取材のできるライターやインハウスライターは報酬が高い傾向があるようです。

「在宅でWebライター1本で稼ぐ」は、現実的に難易度は非常に高いです。しかし独自スキルや専門性、ディレクション能力を持つ人なら、年収アップを狙えます。月収100万円に到達する人は、ライティング1本ではなくディレクター・編集、講師、その他別事業を並行しているケースが多いように思います。

ぶっちゃけると、ライターだけで月収100万円稼げる人は、現実的にほんの一握りしかいないのではないでしょうか。しかし、フリーランスWebライターのデータの中には、年収1,000万円以上など飛び抜けて稼いでいる人もいました。

ここまでを見ると、「稼げる!は嘘ではないが、他の職業と同じく楽して稼ぐのはほぼ無理」「正社員のライターなら一般企業と同じレベルの給与になれる可能性がある」が、Webライターの実態と言えるでしょう。

Webライターの年収っていくら?

【フリーランス・正社員別】Webライターの年収はいくら?1,000万円は可能なのかを考察

Webライター人口から見る競争率などの考察

2023年現在、Webライターの人口が増加しているとの声をよく聞きます。「増えすぎて飽和している」「ライバルが多すぎて仕事が取れない」と感じる方もいるのではないでしょうか。では、実態はどうでしょうか。

Webライターの人口のみを見るのは難しいものの、フリーランス人口や各サービスの登録者数から増えているか推察はできます。大手クラウドソーシングサイトのクラウドワークスとランサーズのデータから、Webライターの人口について見ていきましょう。


<クラウドワークス>

  • 2023年6月末の登録者ユーザーが575.7万人。前年同期比+67万人
  • ライター・編集カテゴリでの登録者数も少なくとも10万人以上(2023年10月時点、スキルとして記事執筆・ライティングを登録している人は3万5,320人)。

参考:クラウドワークス|IR情報 決算短信2023年9月期


<ランサーズ>

2021年10月時点で日本のフリーランス人口は1,577万人で、2015年と比較すると68.3%上昇

参考:ランサーズ|新・フリーランス実態調査 2021-2022年版


上記のデータを見ると、フリーランス人口は増えていると予想できます。それに伴い、Webライターの人口も着実に増加していると言えそうです。これはWebライターは気軽に始められる証明であると同時に、「各分野の専門家」や「ハイキャリアな人の副業」「時間や生活に余裕がある人」の応募割合も増えるとも捉えられるのではないでしょうか。

例えば“文字単価1円以上の仕事を得るのは、誰でも簡単にできる”という意見。これは本当に人によりけりです。

私の肌感覚ではありますが、クラウドソーシングサイトでの応募者の属性やSNSでWebライターを始める人の割合として、各分野の専門家やハイキャリアな人が増えている気がしています。私が開業した当初より、競争率は激化していると思われます。クラウドソーシングサイトだと、1円以上の仕事を勝ち抜く難易度はドンドン上がっているのではないでしょうか。

フリーランスとして独立した人のうち、約9割が10年後に廃業しているのが現実です。私もWebライターとして活動している中で、交流ある人がすでにWebライターを辞めていたのを目撃したケースは珍しくありません。以上のことから、Webライターの人口に関しては次のように感じています。

  • 始めやすいのは間違いないが、競争率が高い
  • Webライターを辞める人は珍しくない
  • 独自スキル・能力があれば人口が増えても仕事は取れる

とはいえ2024年以降は、AIの台頭もあって求められるスキルや市場需要にも変化が訪れると思われます。今後のWebライターが向き合う現実も、大きく変わるかもしれません。

実体験から考察したWebライターの裏の現実・実情いろいろ

ここからはWebライターあひるの実体験を踏まえながら、Webライターの現実・実情について裏の部分をご紹介します。私自身が5年間のWebライター生活で感じたことや、他のWebライターおよび他業界のライターの意見なども参考にまとめました。

フリーランスのWebライターは普通にきついし甘くない

フリーランスのWebライターとしての活動は、誰でも簡単に始められます。ただし、誰でも稼げるという証明ではありません。Webライターはきついし甘くない仕事なのが実情です。きつい、甘くないと感じた点は次の通りです。

  • 文章を書く作業は想像以上に労力と時間を消費して疲れる
  • 自分が求める報酬が得られず、時給換算するとつらいことがある
  • 悪質なクライアントや高圧的な担当者に当たると、精神的な摩耗が激しい
  • 赤字まみれの原稿やサイレント修正された公開記事を見ると心に来る
  • 多数の競合相手との競争や、契約後の継続勝ち取りなど、常に仕事を得る努力が必要になる
  • 贔屓にしていたメディアが突然閉鎖し、仕事が途切れるケースがある
  • クライアントが求めるクオリティを提供できず、凹む
  • 書きたい分野やメディアで執筆できず、キャリアに悩むことがある
  • 労力の割に安く見積もられ、「書くだけなら簡単でしょ?」というノリで接触されると気分が沈む

収入面もそうですが、それ以上に執筆作業やクライアントとのやり取りで発生する、体力・精神面での負担が大きかったです。正社員時代の上司や同僚との交流とは、まったく異なる緊張感がありました。

交渉関係での失敗や仕事のクオリティ不足は、仕事減少・収入減少のリスクに直結します。実際に、最初はうまく言っていたWebライターの人が、数ヶ月~数年後には辞めている、他の仕事を始めているといったケースは珍しくありません。

インタビュー技術や専門知識関係の仕事はしていない私ですら大変と感じるのですから、より高度で上流の仕事に携わるWebライターは、多大な労力をかけて業務を遂行していると思います。Webライターは大変な仕事である、というのが現実です。

最初から多額の収入を得られるWebライターは一握り

例えば初月から10万円稼げる人は、Webライター全体で見ると珍しいケースだと思います。また10万円稼げる人の多くは、始めから仕事のツテがある、単価が高い分野の経験がある、会社でWebディレクター・Web製作・編集関係の仕事に就いていたなど、Webライター活動に有利な要素を持ち合わせているケースがほとんどです。

私は退職後のWebライター初仕事は、「1,500文字以上・1文字0.5円」と「1文字0.3円」の仕事で約2.5万円の報酬です。副業でもないのに、ほぼ1か月かけても3万円に到達しませんでした(それでも初報酬はうれしかったですが)。それが私の現実です。

前述した株式会社Wooの「副業ライター500人へのアンケート」の結果を見ても、月収3万円以上は500人中51人、10万円以上になると6人と100人に1人の割合。モチベーションや執筆環境の差があれど、数万円稼ぐのがどれだけ大変かがわかるのではないでしょうか。

さらに同アンケートでは、500人中272人が副業ライターを続けていないとも回答しています。SNS上でキラキラしているWebライターは、実は少数派というのが現実のようです(もちろん、月に数百万円の収入を得る有名ライターはいらっしゃいます)。

未経験からWebライターを始める場合は、最初は収益よりもスキルアップに焦点を置いて活動するのがよいかもしれません。始めのうちは時給500円に到達するのも苦労しますが、今後の収入アップを目指すなら耐えの時期と割り切るのも大切でしょう。

働き方が合っている人にはとことん合う

労力もかかるし収入を得るのも大変なWebライターですが、それでも私がWebライターを続けられているのは在宅で書く働き方が合っているからです。工場で正社員として働いているときより人間関係に悩むことはなくなり、起床時間や労働時間も体調や私用に合わせて変えられます。

私にはライターの才能はないのが実情。しかしそれでも、生活できるレベルに収入を得られるようになった現実があります。むしろ私より学歴や能力がある人なら、もう少し楽に収入を得られるのではないでしょうか。

またWebライターは、Webディレクター、編集者、Web製作など他のキャリアの出発点としても向いている仕事です。Webライター1本で仕事するというより、キャリアチェンジやパラレルキャリアなどを経る人も多いのが実情です(怪しいライター講師や情報商材屋に転身する人もいますが…)。

Webライターの働き方は、自身の現実的な能力を見極め、キャリアプラン構築にどう活かすかを考えるのも大切になるでしょう。

稼げる人が発信する「生存バイアス」―挫折してしまった人の声―

挫折者が多いのがWebライターの現実

「稼いでる」という発信者は、文字通り「生き残って稼いでる」から発信できています。逆に挫折してしまった・撤退してしまった人の情報は、ほとんど表に出ていません。極論をいうと、辞めた人と合わせた全体で見ると、うまくいく人の情報って数%~数十%位の割合でしかないと思っています。

どうしても「成功者の声の影響が大きくなる」のは、Webライター業界に限らず、現実世界やWeb上でもよくあることです。しかし、「成功者の意見がすべて正しい!」「この人の言うとおりにすれば大丈夫」と盲目するのはちょっと危険です。

あとは「Webライターを続けられないのは、あなたのやる気や根性がないから」という意見。こちらも個人的には極論だと思います。

追いつかない能力差に絶望する生活環境的に仕事が続けられないどれだけ工夫しても応募が通らず辛い思いをするなど、うまくいかず苦労しているWebライターは少なくありません。私とも交流があった初心者ライターの方、ベテランライターの方も、業界の大変さから引退されたケースも多く見てきました。ライターを辞めて別事業に移った方もいれば、そのままSNSのアカウントごと消失した方もいます。

そんな苦しんでいる人たちを努力不足・自己責任と一括りにせず、「挫折したWebライターたちも大勢いる」という現実も、きちんと伝えなければと思っています。

搾取案件や詐欺教材|発信者や近づく人には「まずは疑い」を

詐欺案件が多いのもWebライターの実態・現実

「Webライター業界の発信者の意見」の内容をもう少し考察します。こちらは搾取案件や詐欺教材のお話。私がSNSで発信していた頃から、Webライター周りは少し特殊に感じていまして。

例えばWebライターの発信には、具体的な収益やら文字単価やらのお金の話題をSNSやX(旧Twitter)でオープンに話します。他のクリエイター界隈でも多少は見られるものの、数が段違いに多いです。

お金の話が集まる、ということは「みんな稼ぐことに意欲的・積極的」ってことで、それはそれで1つの正解ですね。しかし一方で、「お金の匂いが濃いところには悪い人が集まる」というケースが見られます。

稼げます!」「文字単価上がりました!」「誰でもできます!」みたいな発信が頻繁に出る界隈を見て、悪い人たちはどう思うか。私なら「この人たちなら簡単に騙せそう」と考えます。事実、高額の受講料を預かったまま倒産した某スクールのような被害に合う人も増えているようです。

もし「初心者でも稼げるよ」「未経験でも挑戦できるよ」というあからさまな甘い言葉を発信する人が近づいてきたら、一旦冷静にその人の発信内容や実績などを見極めましょう。

たとえば『ザ・コピーライティング』というコピーライティングの本では、「得になる」「新しい情報」「好奇心」「手っ取り早く簡単な方法」は人の目を引く効果的な文言と言及されています。

以上から、効果的な見出しには次の4つの重要な特徴があると言える。

1.得になる
2.新情報
3.好奇心
4.手っ取り早く簡単な方法

引用:『ザ・コピーライティング 心の琴線にふれる言葉の法則』P77

「未経験(誰でも)でも〇〇万円!その方法は……」というコピーだと、人を騙せるコピーを見事に網羅していますね。

Webライターあひる
この本はセールスライティングやマーケティングの基礎中の基礎情報がどっさり載っているので、Webライターの方にもおすすめです。
ダイヤモンド社
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SNSでWebライターとして発信する限りは、具体的な収益の話を目にするのを避けるのは難しいでしょう。だからこそ、可能な限り「発信されている内容は常に疑う」という考えを持ったほうが懸命だと考えます。年収金額や根拠のない実績を見て、「この人はできるWebライターだ!」と盲目になるのはリスクが高すぎます。

始めは無料の教材や簡単なアンケート調査でも、裏には高額なバックエンド商品が潜んでクローズドな場で購入させられる、というのは王道です。最近だと、クラウドワークスが悪質案件からのLINE誘導・高額情報商材・スクールについて注意喚起を出していました。

「簡単なアンケート」に見せかけた悪質案件にご注意ください

上記のような詐欺案件が蠢いているのも、Webライター界隈の現実の1つです。信頼できる情報だけと汲み取り実行していくのも、Webライターに求められる能力の1つだと言えるでしょう。

クラウドワークスの悪質案件・クライアントを見分けるコツ

【2024年版】クラウドワークスの悪質案件とは?具体例や怪しいクライアントの見分け方を解説

Webライターの現実と「自分の現在地」との折り合いが大切(主観)

いくらノウハウが出回ろうと、キラキラ体験談がバズって好評を得ようとも、「ライターとしての基礎力」「ライターの仕事を丁寧にこなす」ことが、業界で生き残るには大事だと考えています。地力がつけば、自然と提案や営業できる範囲が広がるので。

ブランディングは大事です。この記事で使わせていただいたフリーランスのデータでも、「営業力」「人脈」「セルフブランディング力」の大切だと多くのフリーランスの方々が挙げていました。

しかし「商品としての自分」に魅力や実力がないと、売り込んだところで後々の活動がつらくなります。「できないものをできる」と叫ぶのは、非常のリスキー。取り返しがつかない失敗は、この世界には存在します。ときには「現実の自分」や「客観的な視点」に気をつけながら、一度Webライターの現実や実情について考えてもいいんじゃないかなと、個人的には思いました。

本記事は裏の部分を主に解説しましたが、他にもWebライターとして活動してきた生の体験談をブログ記事で発信しています。こちらの記事も現実の1つとして、ぜひお読みいただけると幸いです。

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