古賀史健(こがふみたけ)氏の初の単著「20歳の自分に受けさせたい文章講義」は、2023年でブロガー&Webライター歴5年になった今でも、自分の中で最高の一冊です。嫌われる勇気などで有名な古賀史健氏が考える、文章の本質を論理的に読むことができます。2023年現在では「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」という新しい本も出版していますが、凝縮された「書くこと」のエッセンスを読むなら、こちらの本がおすすめです。
物書きとしてだけではなく、一人の人間としてもう少し早く出会いたかったなと思わせてくれた一冊です。
Contents
感想1.嫌われる勇気が面白かった理由がここに
古賀史健さんは、かつて日本で一大ブームとなった書籍「嫌われる勇気」とその続編「幸せになる勇気」の執筆も手がけています。古賀さんは若い頃からアドラー心理学に精通していたこともあり、アドラー心理学に知見があったからこそベストセラーとなった話題作を書き上げられたのですね。
しかし、この「20歳の自分に受けさせたい文章講義」を読んだ後に「嫌われる勇気」を読むと、この本の魅力はアドラー心理学の考えだけではないことが伝わってきました。登場人物である哲人と青年の対話に一切のムダがなく、文章講義の本で言及されている論理や構成、文体のリズムなどの理論や技術がふんだんに使われているのです。だからこそ、大変読みやすい。
哲人がサクッと結論を示してくれるし、青年が「なぜ?」や「それはおかしい!」と疑問に思ったところも、後の行ですぐに答えを出してくれる抜群のテンポ感。だから「嫌われる勇気」はこんなにも読みやすく、人々の心に響く良い文章になったのだと感じました。
Webライター&ブロガーとして初心者だった当時も、2023年現在の今でも、参考にすべき点が散りばめられた名著です。そして「20歳の自分に受けさせたい文章講義」は、現場ライターとして20年以上ご活躍なされた古賀氏の文章術を学ぶことができます。
感想2.文章執筆のときのつまずきやモヤモヤに言及している
「20歳の自分に受けさせたい文章講義」には、下記のような国語文法の品詞使用方法がほとんど載っていません。
「が」や「の」などの助詞
「~ので」や「~から」などの接続助詞
「~いう〇〇」や、「~である」など言葉の重複や、句読点の打ち方など気をつけるポイントは押さえてある
記されているのは、現場経験で培われ凝縮された古賀氏の「書く技術」と「文章を読まれるための技術」です。
・どうすれば思ったことや調べたことを文章に落とし込めるのか
・文章とは誰に対して書けば良いものなのか
つまり「良い文章とはなにか、文章を書くにはどうすればいいか」という問に対して、古賀氏が現場で手に入れた具体的な技術と方法論が余すことなく載っています。
書籍のような長文だけでなく、ブログ記事やコラム記事などの文字数が短くなる文章に関しても、「日常文の書き方」としてしっかりとまとめています。そのため本書は初心者webライターやブロガー、SNS発信など、文章を書いている人たち全員におすすめです。
「なぜ自分の文章は読みにくいのか」「どうして自分の情熱や想いを言葉として落とし込めないのか」、こうした悩みを持つライター・ブロガーは、「20歳の自分に受けさせたい文章講義」を読むことでこれまでにない新しい価値観に出会えるはずです。
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感想3.語られる4つの講義に古賀氏の技術と論理が詰まっている
「20歳の自分に受けさせたい文章講義には、メインとなる4つの文章講義と、講義受講の前提となる説明がなされたガイダンスの5部構成です。
・ガイダンス その気持ちを翻訳しよう
・第1講 文章は「文章はリズムで決まる」
・第2講 構成は「目」で考える
・第3講 読者の「椅子」に座る
・第4講 原稿に「ハサミ」をいれる20歳の自分に受けさせたい文章講義の目次より引用
それぞれの章では、「文章の展開の仕方」「起承転結などの文章の構成のコツ」「読者への意識の持って行き方」「推敲や校正の具体論」が、徹底して解説されています。一度読んでみると、どの項も情報量の多さにびっくりしたのを覚えています。他にもさまざまな文章力関係の書籍に目を通しましたが、テクニックに加えて文章に対する考え方や論理をここまで解説している書籍もなかなかありません
当時の私にとっては、本書の段落1つ、単文1つが宝物になりました。資格勉強のときなど内容を網羅したいときは、読書中の気づきなどをノートに取るようにしているのですが、当時もほとんど本書の丸写しになったのを覚えています。「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の中で解説されている文章論の一部は次のとおりです。
「説得ではなく納得のアプローチで説明する」
「断定表現を使うときは、読者の反発をさけるため前後を論理で固める」
「導入文は映画の予告編を参考にする」
上記の解説内容は、Webライターとして5年以上働いてきた筆者も、いまだに現場で意識しなくてはと思うものばかりです。当初は工場勤務上がりで文章にほぼ触れていなかったもので、本書のおかげで文章の厳しさ、楽しさ、Webライターとしてのモチベーションを持つことができました。
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感想4.「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の文章を分析するだけで勉強になる
「20歳の自分に受けさせたい文章講義」に書かれている文章そのものが、いわば古賀氏の論理や技術が凝縮された「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の実践編と言えます。本書の文章展開の仕方や結論の出し方、導入文を身につけていけば、物書きとしてのレベルを何段階も高めることができるのではないでしょうか。
例えば本書を音読してみると、非常にリズム感が良くスラスラ読めます。また、いずれのページや段落でも文章の結論や大事なポイントが理解しやすくスッと頭に入ってきます。
基本的に上記の流れが本の文章全体、各講義の見出し、そしてときには1段落単位で連続しています。PREP(プレップ)法のイメージに近いです。そのためほとんど文章に詰まることなく、当時の私でもドンドン読み進められたのを覚えています。
それ記載している具体例が古賀氏の経験談だったり、ローリング・ストーンズという伝説のバンドの逸話だったりと、引用する元ネタが面白いのも本書の魅力です。
「20歳の自分に受けさせたい文章講義」は私の人生の愛読書
古賀氏は、「20歳の自分に受けさせたい文章講義」内にて、下記のようにあ語っています。
・書く技術が身につけば、ものの見方が変わる。物事の考え方が変わる。そしてきっと、世界を見る目も変わってくる。
・「いい文章」とは「読者の心を動かし、その行動までも動かすような文章」のことである。
「20歳の自分に受けさせたい文章講義」より引用
本書の文章講義の中では技術や理論だけでなく、古賀氏のライターとしての矜持や文章への誠実さが感じられます。だからこそ、「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の内容が輝くんですよね。
そもそも学習目的やライター目線は置いといて、純粋に読み物として面白いです。普段は文章に触れない人にも、一見の価値があると断言できます。今でも私にとって人生の中のかけがえのない一冊です。
私はこれからもこの本を何度も読み返すし、ブログでもその気づきをどんどん発信していきたいなーと思っています。ぜひみなさん読んでみてください。
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