文章のコピペ(コピー・アンド・ペースト)は、Webライターの仕事においては原則としてよくないと言われていますが、なぜ厳禁なのかご存じでしょうか?
コピペばかりの記事をクライアントへ納品してしまうと、クライアントからの信用が地に落ちてしまいます。さらに著作権法違反による損害賠償や刑罰、投稿メディアの信頼失墜などのさまざまなトラブルに発展する可能性があります。
本記事では、Webライターがコピペを禁止されている理由、コピペ率の詳細、コピペ率を下げるための9つの対処法、例外的にコピペをしたほうがよいケースなどを、経験談などからまとめました。コピペについて疑問がある方や、コピペ率に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
Contents
Webライターがコピペで記事を書くことを禁止されている理由
Webライターはコピペばかりの記事を書くことは、原則としてクライアントから禁止されています。Webライターのコピペが要注意な理由は、主に次の3つです。
- コピペした文章は著作権法違反になる可能性があるから
- コピペが多い記事だと検索順位が下がる可能性があるから
- 読者からの信用が失われるから
それぞれの詳細を見ていきましょう。
コピペした文章は著作権法違反になる可能性があるから
他サイトからコピペした文章をそのまま使うと、著作権法違反になる可能性があります。
WebサイトやSNSなどに投稿している文章は、写真や動画などと同じく著作物に該当します。原則として、著作者に無断で使うのは著作権法違反になる可能性が高いです。当然ながら、書籍や雑誌などWeb以外の文章を丸写しで使った場合も、著作権法違反のリスクがあります。
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(著作物の例示)
e-Gov「著作権法」
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
他人の著作物となっている文章を、あたかも自分が書いたように発表することを「剽窃(ひょうせつ)」と言います。著作権法違反が認められると、著作者からの損害賠償請求だけでなく、10年以下の懲役や1,000万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
もし納品した記事から著作権関係のトラブルが発生すると、コピペを行ったWebライターに加えて記事を掲載したメディアにも責任が及ぶでしょう。謝罪文の掲載、関係各所への謝罪、メディアのPV減少などにつながります。
Webライター側はコピペ記事を納品した責任として、メディアからの信頼の失墜や契約の打ち切りに加えて、損害賠償請求されることも考えられます。
参考:公益社団法人 著作権情報センター「著作物を無断で使うと?」
参考:一般社団法人 日本新聞協会「著作権法の改正必要 知る権利阻害に警鐘 生成AI巡り考え方公表 新聞協会」
コピペが多い記事だと検索順位が下がる可能性があるから
文章のコピペが多い記事だと、Googleの検索順位が下がる可能性があります。
少し文章が似るレベルならまだしも、「完全に複製されたコンテンツ」「コンテンツをコピーして少しリライトしただけの文章」などは、多数から削除リクエストが提出されたときに、コンテンツを載せているサイト全体の掲載順位が下がることがあるとGoogle公式からアナウンスがあります。
無断で複製されたコンテンツ
一部のサイト所有者は、他の(多くの場合は評判のよい)サイトから取得した(無断で複製した)コンテンツを中心にサイトを作成しています。無断複製されたコンテンツ自体は高品質のサイトからのものであっても、サイト独自の役立つサービスやコンテンツが他になければ、ユーザーに付加価値を提供することはできません。場合によっては、著作権侵害にあたるおそれもあります。また、多数の有効な法的削除リクエストが提出された場合、サイトの掲載順位が下がることがあります。不正な複製の例としては、次のようなものが挙げられます。
Google検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」
- 他のサイトのコンテンツをコピーし、元のソースを引用することさえせず、独自のコンテンツや価値を加えずに転載しているサイト
- 他のサイトのコンテンツをコピーし、(語句を類義語に置き換えたり自動化された手法を使用したりして)若干の修正を加えたうえで転載しているサイト
- ユーザーに対してなんらかの形で独自のメリットを提供することなく、他のサイトからのコンテンツ フィードをそのまま掲載しているサイト
- ユーザーに実質的な付加価値を提供することなく、他のサイトの動画、画像、その他のメディアなどのコンテンツを埋め込んだり編集したりしているだけのサイト
また、「納品記事を掲載するサイトからならコピペしてもよいだろう」と軽く考えるのも危険です。
複製コンテンツと判断されるレベルでなくても、同じメディアに似たような内容の記事を納品し続けると、メディア全体のオリジナル要素が少なくなってSEO順位に悪影響を及ぼす可能性があります。結果的にクライアントへ不利益を生じさせ、自分の仕事もなくなってしまうかもしれません。
読者からの信用が失われるから
文章をコピペしたコンテンツを納品すると、納品記事を掲載したメディアの読者にコピペを見抜かれて、メディア全体の信用が失われる可能性があります。
SNSが発達した昨今では、コピペを発見した読者や文章をコピペされた著作者が「この記事は文章をパクっている」と直接情報発信できる時代です。また、インターネットリテラシーやコピペチェックツールの発達から、コピペした文章もバレやすくなっています。
そのため、あからさまなコピーコンテンツはすぐに発覚するケースが多く、メディアの読者にもコピペした事実がすぐに伝わります。一度でも読者に「ここはコピペしたメディアだ」と判断されると、読者からの信用度は一気に落ちるでしょう。もしメディアのPVが失われて閉鎖となったら、結果的にWebライターの仕事もなくなってしまいます。
クライアントから指摘されるコピペ率って何?
Webライターの仕事をしていると、クライアントから「コピペ率は〇〇%以下にしてください」と指定がくることがあります。コピペ率とは、執筆した文章がWeb上にある他の文章とどのくらい類似しているかを、パーセンテージ等で表したものです。
膨大にあるWebの文章の中からコピペされているか否かは、見るだけで判別するのは非常に困難です。そこでクライアントはコピペチェックツールのコピペ率を見て、文章が剽窃されていないかをチェックします。
コピペ率の数値はどこのものを使っているか
コピペ率はGoogle公式が出している数値ではなく、民間のコピペチェックツールにて算出されています。私の5年間の経験から見るに、ほとんどの案件では無料コピペチェックツールの「CopyContentDetector(CCD)」の「一致率判定」をコピペ率としています。
つまり、コピペ率はあくまで民間サービスでの調査結果があり、Google公式での評価基準となっているわけではありません。しかし、コピペ率が高いと他サイトの文章と似通っているのは事実であるため、著作権侵害や読者からの信用失墜につながる可能性が高くなります。
実際にCCDでコピペチェックしたもの
以下の画像は、実際にCCDを使ってある文章の一致率を判定してもらったものです。
上記画像の赤く囲われた部分が、他サイトの文章と一致していると判定されたものです。上記の文章は一致率20%となっています。コピペ率はおおよそ30〜50%以下でクライアントから指定されるので、20%なら問題ないでしょう。
次に、私のブログの記事をコピペしてCCDで一致率判定してもらったものを見ていきます。
見事に真っ赤ですね。コピペしたのがはっきりとわかります。100%のコピペ率でないのは、他サイトの文章との比較や精度などのさまざまな要素が原因だと考えられます。とはいえCCDは無料で使えるコピペチェックツールなので、精度としては十分すぎるほどでしょう。
ただし本当にコピペをしていなくても、執筆分野や固有名詞・専門用語の多さなどの要因でコピペ率が高くなる可能性があります。
Webライターの仕事でコピペ率を下げるための9つの対処法
Webライターがコピペの疑いやコピペ率に対応するために、以下9つの対処法を解説します。
- 文章をそのまま使いたいときは引用を用いる
- 競合記事の内容に引っ張られすぎない
- 上位記事にはないオリジナル要素を入れる
- 違和感がないレベルで言い換えを行う
- 執筆分野の学習やリサーチを深めて浅い知識で書かないようにする
- 他のサイトと見出しの文言を一緒にしない
- 思い切って画像で説明してみる
- 自分でもコピペチェックツールを使う
- どうしても高くなるときはクライアントへ相談する
1.文章をそのまま使いたいときは引用を用いる
他サイトや書籍などの文章をそのまま使いたいときは、引用を用います。引用とは、公表されている他の作品・発言などを著作者の許可を得ずにそのまま引けることです。著作権法第32条に定められています。
引用のメリットは、第三者の意見やデータなどの客観的な情報を読者に掲示することで、コンテンツの信頼性を高められる点です。引用をうまく使えば、文章により説得力をもたせられます。この記事でも、著作権法やGoogle検索セントラルからの引用を行っています。
引用をするときは、以下に定めた引用ルールを守るようにしましょう。
- 著作物を引用する必然性があること
- 「」を使う、引用符を使うなどを行い、自分の著作物と引用部分が明確に区別されていること
- 自分の著作物を主、引用を従とすること(引用文ばかりにならないこと)
- 著作者名、出版元、URLなど出所を明示すること
- 引用部分を改変しないこと
2.競合記事の内容に引っ張られすぎない
SEOライティングを行うときは、競合記事を参考にしながら執筆するWebライターも多いと思われます。しかし競合記事に引っ張られすぎると文章が似通るだけでなく、文章構成や内容まで似てしまうので、コピペチェックにより引っかかりやすくなります。
記事を執筆する際は、競合記事をあくまで参考程度に留めておき、一次情報やオリジナルの論理展開、新情報など基にライティングを行いましょう。
3.オリジナル要素を入れる
インターネット上にはまだ存在しないオリジナル要素を記事に入れることで、コピペチェックに引っかからないコンテンツが作れます。オリジナリティが高い記事だとSEO的にも効果が見込め、Google上位表示を目指せる記事になるでしょう。
Webライティングで入れられるオリジナル要素の例は次のとおりです。
- 有識者などへのインタビューやアンケート結果などを入れる
- 例文・経験談・計算例・具体例などを入れる
- 上位記事では解説されていない内容を入れる
- クライアントの他の記事や商品の紹介を入れてみる
4.違和感がないレベルで言い換えを行う
小手先のテクニックではありますが、コピペに引っかかったときは違和感がないレベルでの文章・言葉の言い換えを行うことでコピペ率を下げる方法があります。具体的な方法は次のとおりです。
- 類義語を使う
- コピペ率に引っかかる固有名詞を削る(こそあど言葉に言い換える)
- コピペ率が高すぎる文章は思い切って削ってみる
- 語尾を変えてみる
- 読者への問いかけを入れてみる
「漢字をひらく」「ひらがなを多くする」などのテクニックもありますが、こちらが使えるかはクライアントのレギュレーションにもよります。
ただし、言い換えレベルのテクニックで対応できるコピペ率は数%程度です。コピペ率がかなり高いときは、文章を根本的に見直す必要があるでしょう。
5.執筆分野の学習やリサーチを深めて浅い知識で書かないようにする
執筆分野の学習やリサーチが浅いと、専門用語や文脈を理解しないまま同じような文章を書いてしまう危険性があります。すると参照サイトの文脈や文言に引っ張られすぎて、コピペチェックツールに引っかかる文章になる可能性が高いです。
時間をかけてでも執筆分野への理解を深めれば、意味を変えない程度のうまい要約・言い換え・例え話や、専門用語の深掘り、言葉の引き出し増加などによって、オリジナリティが高い記事を執筆しやすくなります。
6.他のサイトと見出しの文言を一緒にしない
コピペ率が高くなる原因は、文章だけでなく見出しの文言であるケースも少なくありません。<h2></h2>や<h3></h3>などで使う文言は、できる限り他サイトと被らないようにするのがおすすめです。
7.思い切って画像で説明してみる
専門用語や固有名詞が多すぎてコピペ率が下がらない場合は、文章ではなく画像を作成して説明することも検討してみてください。イラストや画像内の文字なら、コピペチェックツールに引っかかることはありません。
内容によっては文章より画像のほうがわかりやすかったり、オリジナル画像でSEO的によい影響があったりなど、画像作成にはさまざまなメリットがあります。一度クライアントへ画像で説明してよいか否かを確認してみてください。
ただしコピペチェックツールに引っかからないからといって、引用ルールを無視して画像内にコピペした文章を貼り付けるのは絶対にNGです。画像だろうと、剽窃行為は著作権法違反になります。
8.自分でもコピペチェックツールを使う
クライアントへ納品する前に、自分でもコピペチェックツールを通してコピペ率が高くなっていないかチェックすることをおすすめします。理由は次のとおりです。
- クライアントへコピペ率が高い記事を納品するリスクを減らせる
- クライアントから指摘されることによる評価の低下がなくなる
- 納品前のほうが、コピペ率が高くなったときの修正に対応しやすい
9.どうしても高くなるときはクライアントへ相談する
法律の解説記事、専門用語が多い専門性の高い記事、競合が多い記事(レッドオーシャンの分野)、変えようがない事実(歴史やハウツーなど)が多い記事などは、気を付けてもコピペ率が高くなりがちです。
どうしてもコピペ率が高くなってしまうときは、一度クライアントへ相談してみましょう。私も金融・法律系の記事を書いてコピペ率が高くなるときは、コピペ率が高くなる原因を素直に伝えて指示を仰ぐことも少なくありません。
特定のキーワードでイレギュラー的にコピペ率が高くなる場合は、クライアント側も納得してくれるケースも多いです。
ただし普通のキーワードで毎回コピペ率が高くなるなど、明らかに執筆側の責任があるときは、まず自分の文章を見直しましょう。
Webライターがコピペをしてもよいケース
「Webライターはコピペ厳禁!」と解説してきましたが、コピペしてもよいケースも存在します。「文章を引用するとき」と「固有名詞・電話番号・URLなどを載せるとき」です
文章を引用するとき
Web上の文章を引用するときは、コピペを使うのがおすすめです。
引用ルールの1つに「文章を改変しないこと」があるので、引用文を自分で打ち込んでしまうと、1文字でも打ち間違えたときに引用ルールを満たせなくなります。作業効率的にも、文章の引用はコピペをした上で適切に区別することをおすすめします。
固有名詞・電話番号・URLなどを載せるとき
固有名詞、電話番号、URL、商品やサービス名、住所など1文字でも間違えると問題がある文章・単語を使うときは、公式サイトからコピペするようにしましょう。
Webライター向けの無料・有料のコピペチェックツール
最後に、Webライター向けの無料・有料のコピペチェックツールを紹介します。クライアントへの納品前には、自分でもコピペチェックして記事の品質を上げることをおすすめします。
【無料】こぴらん
「こぴらん」は無料で利用できる簡易コピペチェックツールです。入力窓にテキストを入力し、チェックボタンを押すだけでコピペチェックができます。
1回のチェックで、25文字から4000文字までのテキストが処理可能です。ただし1文節が80文字を超える部分は、チェックされないことがあります。コンマで区切ることで任意の位置でのチェックも可能です。
あくまで簡単な文章チェックとして使うのがおすすめです。
【有料プランあり】CopyContentDetector
「CopyContentDetector」は、コンテンツの重複やコピペをチェックするためのツールです。
無料プランだと、テキストの長さを最大4000文字までチェックできます。とはいえ1つの文章をチェック中に他の文章もチェックにかけられるので、4,000文字以下ならどんどん連続でツールを使えるメリットがあります。使用回数に制限はありません。
チェック時間は1~2分と非常に短い反面、サーバーが混雑しているとチェックに時間がかかったりエラーが出たりする可能性があります。
CopyContentDetectorは、無料でも十分に優秀なコピペチェックツールです。しかし有料プランに入ると、より快適に利用できます。
出典:CopyContentDetector「【個人向けクレジットカードプラン】で利用できる機能について」
有料プランでは、テキストの長さが8000文字に増加、Wordファイルのチェック、ドメイン指定による精密なチェック、判定基準の設定変更、混雑時の優先的なチェック、WordPressプラグインの利用ができます。
2024年1月現在なら、月々300円(税込)のマイクロプランから利用が可能です。300円でもチェック待機時間の短縮や文字数上限8,000円などが使えるので、興味ある場合は有料プランの導入を検討してもよいかもしれません。
【有料】コピペリン
出典:サクツールズ「記事・文章コピペチェックツール「コピペリン」」
コピペリンは、さまざまな形式(テキストファイル、Word、エクセル、CSV)やURLを指定して有料コピペチェックを行うツールです。月550円(税込)で利用できます(支払いは年払いのみ)。
コピペチェックの結果は、コピーレートや部分コピー率を数値で表示し、コピーされたコンテンツの可能性があるURLとの比較を提供します。また、除外設定を利用して特定のURLをチェックから除外することも可能で、レポート出力機能によりチェック結果を文書化して保存できます。
有料である分、コピペチェックの精度・機能は非常に優れているツールです。
Webライターはコピペについてしっかり注意しよう
Webライターにとって、コピペは常に気をつけるべき要素です。自分からコピペだけの記事を納品しないのはもちろんのこと、コピペチェックツールに引っかかるような文章を執筆しないのも非常に重要です。
オリジナリティのある文章を書く、執筆分野の知識を深める、画像をうまく活用するなどを行い、コピーコンテンツと判断されないような記事に仕上げるようにしましょう。キーワードや執筆分野の関係でどうしてもコピペ率が下がらないときは、一度クライアントへ相談してみてください。
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