「金融分野が執筆できるライター」と聞くと、元銀行員や証券会社出身の人以外では難しいと思われがちです。事実として、現場経験・金融系資格を持つ金融系のWebライターの需要は非常に高くなっています。
しかしFP資格(できれば2級以上、きんざい・FP協会はどちらでもよい)を取得することで、金融業界の就業経験がなくても金融系記事の受注を増やせるWebライターになれるかもしれません。私は高卒の元工場の現場作業員Webライターですが、FP資格を取得したことをきっかけに投資、保険、税金関係の記事を執筆する機会が増えました。金融ライターとして、ある程度活動しています。
本記事では「金融・保険業界未経験」の方に向けて、WebライターとFP資格の相性やFP資格取得のメリット、金融に強いWebライターになる方法などを、元工場勤務の現場作業員Webライターの目線で解説します。また、クラウドワークスで実際にあった募集&スカウトの例もご紹介します。
Contents
WebライターとFP資格は相性抜群!取得を狙うべき4つのメリット
WebライターとFP資格の相性は抜群です。取得することで、Webライターとして確実にステップアップできます。FP資格を取得する具体的なメリットは次の4つです。
- 執筆分野の幅が一気に広がるから
- 資格取得者限定の案件に応募できるから
- 金融・保険・不動産などの分野は高単価案件が多いから
- 誰でも試験を受けやすいから
「FP資格を勉強したい」「金融ライターを目指したい」と迷っている方は、私の体験談やクラウドワークスでの実際の案件を含めて、ぜひこちらを読んでみてください。
1.執筆分野の幅が一気に広がるから
WebライターがFP資格を取得する一番のメリットは、執筆分野の幅が一気に広がることです。FP資格の試験範囲は、ライフプランニング(資産設計)、保険(リスク管理)、金融、税金、不動産、相続の6分野にわたります。学習することで6分野の知識が得られる上に、合格できれば6分野の知識を持つことの証明になります。
FP資格でカバーできる執筆分野を具体的に見ていきましょう。
FP資格で学習する分野 | 対応できる執筆分野の例 |
ライフプランニング(リスク管理) | 社会保険、公的年金、企業年金、個人年金、家計・節税関係など |
保険(リスク管理) | 生命保険、損害保険、第三の保険(医療保険、がん保険、傷害保険)など |
金融 | 投資関係(株式、債券、投資信託)、金商法、金融市場の基本など |
税金 | 所得税、住民税、所得控除、税額控除、確定申告、その他税制など |
不動産 | 不動産取引、不動産関係の税金、賃貸、不動産関係の法令など |
相続 | 相続の基本、贈与、事業承継、相続税、相続財産の評価、不動産の相続対策など |
いずれも、1つのワードだけでいくつも記事が作れるほど深いテーマばかりです。FP資格では1つひとつを深掘りするというより、広く浅く学習していきます(それでも基礎知識はしっかりと学習します)。そのため、執筆できる幅が広がりやすいです。
FP資格は6分野がそれぞれ別分野にも関係してくるので、1分野を真剣に勉強するだけでもWebライターとしての実力はかなり上がると思います。
2.資格取得者限定の案件に応募できるから
金融分野や保険分野は、クライアントが「Webライターの中でもFP資格取得者限定」で案件を募集するケースがよく見られます。とくにFP2級以上を指定しているケースが多いです。FP資格を取得していれば、こうした限定案件にも応募できるメリットがあります。
実際に2023年11月10日にクラウドワークスにて「FP」で検索すると、文字単価2~3円以上の案件がヒットしました。
経験上、クラウドワークスは公開案件だけでなく、FP資格保有者向けの直接スカウトの単価は高い傾向にあります。
また編集プロダクションや継続クライアントから、「FP資格を持っているなら、こちらの案件に対応できませんか?」と打診がくることもあります。私もFP2級を取ってから、金融分野の相談が明らかに増えました。実績を増やすチャンスを増やす意味でも、FP資格は優秀です。
3.金融・保険・不動産などの分野は高単価案件が多いから
金融・保険・不動産といったFP資格の範囲の執筆は、専門性が求められる上にSEOにおける「E-E-A-TやYMYL分野」を強く意識する必要があります。そういった背景から、FP資格分野の執筆は高単価案件が多いのが特徴です。執筆難易度は高いですが、その分だけ高収入を得やすいメリットがあります。
実際にFP2級を取得してから3円以上クラスの長期継続案件や、文字単価7~10円クラスの案件のスカウトを受けたこともあります。
▼実際のスカウトです(定型文スカウトですが、この後ちゃんと契約して納品しました)
とはいえ本当に丁寧かつ正確に執筆しないといけない分野なので、執筆後の私はいつも以上にぐったりしてしまいますが…。専門性高い記事をサクサク書くのは難しいですね(私が遅いだけで、サクサク書けるWebライターもたくさんいると思います)。
- E-E-A-Tとは、経験、専門性、権威性、信頼性のことで、Googleの検索品質ガイドラインに載っているサイトの評価基準のこと
- YMYLとは、Your Money Your Lifeの略で、人々のお金や人生に大きな影響を与えるSEO難易度が高い分野のこと
4.誰でもFP試験を受けやすいから
FP資格の2級および3級の試験は、原則として毎年1月・5月・9月の3回実施しています。年に1回しか試験をしない国家資格が多い中、かなりの頻度で行われていることがわかります。
▼2023年度の試験日程
受験資格は3級なら誰でも受験可能で、2級は「3級取得者」「認定研修の修了者」「実務経験2年以上」のいずれか1つを満たす人です。学歴などの条件はありません(私は高卒ですし)。
試験会場は、各都道府県に設置されます。業界未経験のWebライターでも、比較的挑戦しやすいのが大きなメリットです。合格率も3級なら70~80%くらいあるので、きちんと勉強すれば問題なく取得できるはずです(ノー勉だときついと思います)。
FP取得以外の金融ライターとして専門性・実績を磨く4つの方法
WebライターがFP資格を取得すれば大きな武器になりますが、金融ライターとして専門性・実績を磨くには資格取得にとどまらない向上心と具体的な行動が必要です。私が考える金融ライターとして専門性・実績を磨く方法は次の4つです。
- FP資格取得後も金融分野の勉強を続ける
- 証券口座を開設して少額でもよいので投資を経験してみる
- 他の金融関係・FP分野の資格を取得する
- 金融分野対応のWebライティングやSEOの知識を身につける
順番に解説します。
FP資格取得後も金融分野の勉強を続ける
金融分野のWebライターとして長く活躍するには、FP資格を取得するだけでは足りません。FP資格取得後も、執筆分野における深掘りの学習が必要になります。
FP2~3級レベルの試験問題だと、基本的内容+少しの応用知識までしか出題がありません。そのため、執筆テーマによってはFP資格の出題範囲より深掘りしたリサーチと理解が必要です。FP資格取得後も、執筆分野に関する学習は継続的に続けていきましょう。
証券口座を開設して少額でもよいので投資を経験してみる
金融市場や投資商品について執筆する場合は、自分でも証券口座を開設して実際に投資を経験することをおすすめします。実体験に基づいた執筆ができますし、証券会社が提供する市場分析ツールや財務関係の数値、投資関係の最新ニュースなどは、金融ライターとしての専門性を深めるのにもってこいの情報源だからです。
近年ではスマートフォン1台あれば、自宅にいたまま証券口座開設手続きが完了できます。取引もスマートフォンで簡単に対応可能です。また投資信託なら、月々100~1,000円から始められる商品が登場しています。以前よりも、気軽に投資活動ができる環境が整っています。
他の金融関係・FP分野の資格を取得する
FP資格の他にも、金融関係の分野の資格やFP資格の試験範囲と被る資格を取得すると、金融ライターとしての実力の証明につながります。受験資格がなく誰でも受験しやすい、金融関係・FP分野の資格は次の通りです。
証券外務員一種 | 金融分野と範囲が被るので勉強しやすい |
日商簿記検定 | 経理関係、財務関係、経営関係の分野の執筆に強みが出る |
銀行業務検定|相続アドバイザー | 相続アドバイザー(相続分野と範囲が被るので勉強しやすい) |
銀行業務検定|年金アドバイザー | ライフプランニング分野と範囲が被るので勉強しやすい |
宅地建物取引士 | 不動産分野と範囲が被るので勉強しやすいが、やや難易度が高い |
宅地建物取引士(宅建)以外はCBT形式で年に何度も試験を実施しているので、あなたのタイミングで受験しやすいのがメリットです。
金融分野対応のWebライティングやSEOの知識を身につける
FP資格は金融分野(保険や不動産なども含む)の案件受注の取っ掛かりになるものの、実際にクライアントを満足させる品質の記事を書けるかはWebライターとしての実力次第です。金融分野関係の執筆をするときは、金融分野対応のWebライティングとSEOの知識を身に付け、執筆を進めましょう。
私が個人的に感じた、金融分野の執筆ならではの特徴は次のとおりです。
- 文体は堅めを求められることが多い
- 固有名詞や決まった数字・計算式が多く出てくるので、工夫しないとコピペチェックで引っかかる/li>
- 数字がよく出てくる上に、自分オリジナルの計算例が必要なときもある
- 書くより図で説明したほうがよいケースが割りと多い
- 金融分野関係の統計データは毎年新しいものが出るので、常に最新の情報を探して引用しないと記事の品質が落ちる
- 投資や保険関係の記事は、原則として断定表現や偏った紹介を避ける(メリット・デメリットをきちんと書く)
- 保障・補償・保障を書くときに混乱することがある
執筆するうちに慣れてくるとは思いますが、結果を出せる金融ライターを目指すためにも、WebライティングやSEOの知識を常にアップデートしておきましょう。
WebライターがFP資格取得を目指すときのデメリット・注意点
WebライターがFP資格取得を目指すときは、次のデメリット・注意点を頭に入れておきましょう。
- FP資格だけでは足りないケースがある
- 2級合格の難易度はそこそこ高い
- FP資格だけでは足りないケースがある
上記のデメリット・注意点を理解した上で、FP資格を取るか否かを検討してください。なお、FP2級以上を目指すことを想定して解説しています。
1.資格取得までに時間がかかる
FP2級を取得するまでに必要な時間は、金融・経済関係の基礎知識がない方は約200~300時間、基礎知識がある方は約100~150時間だと言われています。個人の学習習慣や事前の知識、学習方法によって大きく異なるものの、おおまかな目安としてご参考ください。
私の場合はWebライター活動を通じて多少の金融・経済関係の基礎知識があったこともあり、3級から学習して2級に到達するまでは150時間ほどでした。2級・3級合計で2か月間、1日平均で2~3時間ほど勉強しています。
FP資格の勉強を、Webライターの実績作りや営業活動、その他の勉強より優先すべきか否かを事前に確認してみてください(個人的には勉強するメリットは大きいと思います)。
2.2級合格の難易度はそこそこ高い
FP2級レベルだと、ノー勉強や出たとこ勝負の勉強で合格できるほど甘くありません。日本FP協会や金融財政事情研究会の試験結果によると、FP2級の合格率は50~60%で推移しています。きんざい試験は、科目によって30~40%の合格率となっています。
FP3級と比べて、FP2級試験の難易度が上がる要因は次のとおりです。
FP2級試験の難易度が高い理由 | 詳細 |
幅広い知識が必要になるから | 税金、保険、資産運用、不動産、年金、相続など、金融全般にわたる幅広い知識を1から学ばなければならず、大変さを感じることが多い |
実践的な知識と技能が求められるから | 理論を覚えるだけでなく、実際のケーススタディを解析し、適切なファイナンシャルプランを提案する能力も求められるため、応用力・実務的思考が必要になる |
法律や税制の変更への対応が必要になるから | 毎年のように変更される法律・税制の最新情報を常に把握し、それに基づいた学習が求められる |
計算問題への対応も必要になるから | 不動産・相続分野や保険料関係の計算など、数値を扱う問題が多いため、公式を正確に理解し、適切に適用する能力を要求される |
試験時間の管理が難しいから | FP2級は専門用語や難解な問題文を読んだ上で計算問題などへ対応する必要があるため、試験の時間管理が重要になる |
士業資格といった他の難関資格と比較すると難易度は低いため、計画的に学習すれば合格は近づきます。とはいえ学習の時間や労力がかかるのが、FP2級取得のデメリットと言えます。
参考:日本FP協会「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
参考:金融財政事情研究会「試験結果」
3.FP資格だけでは足りないケースがある
仮にFP2級資格を取得したとしても、すぐに金融系のWebライターとして活躍できるかと言われるとそうではないという注意点があります。
Webライターとして活躍するには、ライティング能力、取材力、SEO知識、マーケティング知識、営業力、人脈などが必要です。またFP2級だけでは、金融機関で実務を積んだ方やFP業務に携わっている方など、FP関係の豊富な実務経験があるライターのほうが優先して採用されやすいと考えられます。FP2級があったからといって、仕事がドンドン舞い込むといった都合のよい展開はあまりないでしょう。
私がFP2級取得で仕事が増えたのも、それまでにWebライターの実績や能力をそれなりに積んでいたからだと考えられます。
FP2級取得は、金融系のWebライターとして活動するためのあくまできっかけづくりと認識しておいてください。
私がFP2級に合格するために行った勉強方法
私がFP2級に合格するために行った勉強方法は、「民間のFP2級・3級の参考書・問題集」と「FP2級ドットコムでひたすら過去問を解く」の2つです。
私が使用した参考書は、『みんなが欲しかった! FPの教科書 2級(著 滝澤 ななみ)』シリーズです。ていねいな解説、わかりやすい図解、豊富な練習問題・実践問題など、初めてFPを勉強するにはもってこいの参考書だと思います。毎年法改正や試験傾向に合わせて最新版が販売されているので、一番新しいものを購入してください。
もう1つおすすめなのが「FP2級ドットコム」の活用です。こちらはなんと無料でこれまでのFP試験の過去問を学習できるめちゃくちゃよいサイトです。図解を用いた問題・解答の解説、タップするだけで問題を解いていける優れたUIなど、FPを勉強する方がトコトン利用しやすいよう考えられています。私も実際に、FP2級を勉強するときに大変お世話になりました。
「FP3級ドットコム」もあるので、3級を学習する方でも利用できるのがメリットです。
最新の試験問題がすぐに追加されるのも、大変嬉しいポイントですね。スマホからでもパソコンからでも、URLにアクセスすればいつでも利用できます。
FP資格を取得して金融に強いWebライターを目指す道もあり
FP資格とWebライターの相性は非常によく、FP2級以上を取得できれば、金融を始めとするさまざまな分野の執筆に携わるきっかけが作りやすいです。私自身FP2級を取得したことがWebライターとして1つの転機になったので、Webライターとして金融分野の実績を積みたい人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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