コタツ記事の由来や意味とは?メリット・デメリットや質の高い記事を書くコツを解説

コタツ記事はどういう意味?メリット・デメリットや執筆のコツ ライター雑記

筆者は完全なコタツWebライターです。外出取材もしたことがなければ、インタビューの経験も今のところはありません。官公庁のデータ、有名企業の調査結果、インタビュー音声、書籍など、インターネット上やクライアントから提供される情報を基に、自身の知識、検証、考察などを執筆しています。

「コタツ記事は質が低い」「外に出て取材しないWeb記事は嘘ばかり」といった意見も多い昨今ですが、実際のところコタツ記事は許されないものなのか、本当に避けるべき記事なのかと疑問に思う方も多いのではないでしょうか

本記事では、Webライターとして働くなら必ず一度は耳にするであろうコタツ記事の由来・意味やその是非、コタツ記事のメリット・デメリットなどを考察しました。

※本記事では原則として「コタツ記事」で統一していますが、参考元記事のタイトルがひらがなの場合は「こたつ記事」のママ記載しています。

コタツ記事の由来は?

コタツ記事という言葉を最初に提唱したのは、ネット・デジタルトレンド分析やデジタルガジェット論評などを専門とするジャーナリスト、本田雅一氏(ワタナベエンターテインメント所属、2024年3月時点)です。コタツ記事は、同氏の発信にある通り“コタツの上だけで完結できる記事”が由来となっています。

本田雅一@rokuzouhonda

ええと、”コタツ記事”というのは、ブログや海外記事、掲示板、他人が書いた記事などを”総合評論”し、コタツの上だけで完結できる記事の事を個人的にそう呼んでます。自分たちでコタツ記事が優れていると宣言している方もいれば、言ってない方も。柔らかな言い方をすると「文献派」の方々

午後2:56 · 2010年12月9日

X(旧Twitter)

10年後の2020年には、あらためてコタツ記事に言及する発信をされています。

本田雅一@rokuzouhonda

2010年12月の「 #コタツ記事 」という造語の話が10年ぶりに掘り返されていてびっくり。確かに最初に使ったのは自分だという意識はあったのだけど声を大にして言うのもアレなので深くは追求してこなかった。サンキューです
@mdojo1さん。自分でも経緯を忘れていた(w

午前2:18 · 2020年12月22日

X(旧Twitter)

本田雅一氏はX(旧Twitter)にて、「『コタツ記事』という言葉の、語源と造語者は誰か?~”こたつ内”から調査したけど、最後は「取材」もしてしまった【日曜民俗学】」を紹介しつつ、コタツ記事という言葉を使った簡単な経緯を語っています。要約したものは次の通りです。

  • 当時はニュース媒体とブログの境が曖昧なメディアが登場し、いくつかのメディアがネット記事や有名人・企業のブログを情報源にしたニュース媒体となっていた
  • 経費・人材的なコストをかけずに、それなりの品質の記事を生み出せるので効率的だが、フェイクニュースについての話にも発展した
  • 倫理・事実関係をチェックする部門がないにもかかわらず、ネット情報だけで生きている人は受け入れていたので好意的に受け入れられない空気があった
  • 当該ニュース媒体が「ネットから幅広く多くの情報を集めて集約したほうが質が高くコストも良い」と発言していて、それを念頭に「コタツの中だけで完結する」と最初に表現した(コタツという言葉を使ったのは12月だったのもある)

本田氏は、決してすべてのコタツ記事の質が低いと語っているわけではありません。このポストをした翌年1月には、ITmedia NEWSで執筆されたコラム記事「なぜ「こたつ記事」は増えたのか 10年前に作った言葉がにわかに注目を集めた理由 – 」にて、次のように語っています。

いわば文献を集めて論理を組み立てる人たちの手法をインターネットの時代に適合させたのがこたつ記事で、個人的には「こたつ記事=質が悪い」とは考えていないネットのない時代から直接の取材なしで書かれる記事は多く存在し、中には質の高いものもあった

 逆に取材したからといって質の高い記事になる保証はない。ジャーナリストという仕事柄、取材の現場で自らが描きたいストーリーを補強するため同じ質問を別角度からしつこく繰り返し、相手の失言を誘って言質をとろうとする記者を何度も見てきた。

 一方で10年前に一部のこたつ記事や、そうした記事の多いサイトを気持ちよく見ていなかったことも事実だ。ぬくぬくと暖かい部屋の中で労せず記事を書いている、とイメージしたことも否定しない。だから“こたつ”記事なのだ。

ITmedia NEWS|なぜ「こたつ記事」は増えたのか 10年前に作った言葉がにわかに注目を集めた理由 –

2024年現在だと、コタツ記事はWebライター界隈でも広く浸透している言葉です。朝日新聞の記事文春のコラム記事集英社のコラム記事など、有名メディアでも使われるようになっており、SNS上でもコタツ記事に対するさまざまな意見論評が見られます。

コタツ記事という言葉の意味は、使う人次第でさまざまな解釈が生まれています。

コタツ記事とは? 意味についての考察

実際のところ、コタツ記事は現在どのような意味で使われているのでしょうか?

以下ではコタツ記事の意味や解釈について、さまざまな意見をまとめました。

コタツ記事とは「取材せずに書かれた記事」のこと

一般的なコタツ記事という言葉は、「取材せずに書かれた記事」を意味するケースがほとんどです。goo辞書では、「独自の調査や取材を行わず、テレビ番組やSNS上の情報などのみで構成される記事。」とあります。

独自の調査や取材を行わず、テレビ番組やSNS上の情報などのみで構成される記事。

[補説]主に、閲覧者数を増やす目的で作成されるインターネット上の記事についていう。自宅で、こたつに入ったままでも作成できるということからの名。

goo辞書

コタツ記事の“コタツ”は、「取材に行かず、炬燵(こたつ)に入ったまま書ける記事」の炬燵から取られました。反対の意味の言葉として、取材記事やフィールドワークなどが使われます。

「取材をしていない」の範囲は各人の感じ方によりますが、「ニュース記事やブログを基にした二次、三次情報しか調べていない」「テレビ番組の有名人の発言を書き起こして書いただけ」といったものは、コタツ記事と判断されるケースが多いようです

ネットの情報を情報元として使う質の悪い記事

「外へ取材に行かずに書く記事」の他にも、コタツ記事には「芸能人の発言、ネット記事、SNS投稿を検証せずにつなぎ合わせて書く」という意味も生まれています。取材に行かない=一次情報を収集せず、二次・三次情報を基にしている記事です。例えば孫引き(直接に原典から引かず、他の記事や本に引用された文章をそのまま用いること)も、質の悪いコタツ記事となる原因の1つでしょう。

またネットの情報の検証せずにそのまま参考にし、誤った内容や事実が不透明な情報を掲載してしまうこともコタツ記事の意味に含まれてきています。そういった記事の質は低くなる傾向にあるので、コタツ記事=質の悪い記事との認識も広まっているようです。

すべてのコタツ記事の質が悪いわけではないと思いますが、近年、Webを中心に大量のコタツ記事が生産されてしまったことで、質の悪いコタツ記事が世に出回ったこともイメージ悪化につながったのではないでしょうか。

なぜコタツ記事が生まれるのか?メリットについて解説

一見するとコタツ記事に対する世間のイメージは非常に低く、メディアに悪影響を及ぼすことも考えられます。しかし一方で、コタツ記事は報道機関や大手メディアの記事を含めて生産され続けているのが実情です。実際に、大手メディアのライターの方々も、コタツ記事を執筆していることについてコメントを残しています。

ちなみに、この記事を書いているJ-CASTニュース編集部記者も、これまでに多数の「こたつ記事」を量産してきており、「こたつ記事ライター」を自認して久しい。そんな記者の感想も織り交ぜつつ、番組の内容を紹介していく。

JCASTニュース「「もはや、これ、ライターの仕事じゃない」 NHKねほりんぱほりん「こたつ記事」特集に反響」

と書いてきて後ろめたくなるのは、本欄もまたコタツ記事だからです。テレビを見ただけで、取材せずに書いています。

信濃毎日新聞デジタル「コタツ記事 後ろめたさありつつも」

ここからは、なぜコタツ記事が生まれるのかについてを深堀りするために、コタツ記事のメリットを解説します。

取材の手間を掛けずに執筆できる

コタツ記事は、原則としてインターネット上の情報を参照して執筆されます。Webライターの仕事の場合、インターネット上のリサーチと自身の知識のみで執筆できる依頼も多いので、「炬燵に入りながら」という意味の通り在宅のままで記事の執筆も案件次第で可能です。自宅でなくてもオフィスやカフェなど、場所を選ばずにコンテンツを作れます。

つまり取材関係の打ち合わせ、場所移動、宿泊先の確保などにかかる手間が発生せず、すぐに記事執筆に取り書かれるのがコタツ記事のメリットです。外部との調整・交渉や時間的制約もなくなることから、コンテンツ制作側のペースで仕事を進められるのもコタツ記事の特徴と言えます。

以上のことから、コタツ記事はメディア運営者とライターともに時間・労力が削減でき、管理もしやすいコンテンツとなっています。コタツ記事は、非常に書きやすいのです。「Webライターは在宅で仕事できる」のイメージは、完全在宅で執筆できるコタツ記事からきている側面があります。

Webライターあひる
当たり前ですが、外出取材をしなくても正確な情報源や専門知識に加えて、わかりやすくするライティング力、構成力が必要です。

コンテンツの大量制作によるPV数増加とSEO効果が強い

コタツ記事はコンテンツ制作の手軽さゆえに、大量生産しやすいという特徴があります。とくにオウンドメディアのWebコンテンツは、一定の質さえ担保できれば数が増えるほどPV数の増加につながります。コタツ記事によって短期間でPV数が増加すれば、商品・サービスへのCVやインプレッション収益などの収益化を早めることが可能です

記事の質を高めることは、コンテンツ制作における重要事項です。しかしオウンドメディアなどのWebメディアに関しては、1つの記事の執筆に時間をかけすぎると、メディアの成長も緩やかになってしまいます。すべての記事を取材ありきの専門性の高いコンテンツにできるのが理想ではあるものの、予算や時間の関係で難しいのが現実です。

また情報の消費が早い現代社会においては、競合メディアとの競争や読者の飽きなどへの対応策として、スピーディーなコンテンツ制作の重要度が上がっています。

そのため大量生産しやすいコタツ記事のほうが、短期間のPV数増加・メディア認知度の向上によって、効率的にメディアを成長させるのに向いている傾向があります。とくにコンテンツの質だけでなく量も求められる新規参入のWebメディアにとって、コタツ記事は早期の収益化の手段として有効と言えるでしょう。

さらに一定以上の良質さを担保したコンテンツが増えることは、サイトボリュームの増加・サイトの専門性の担保・内部リンクのつなげやすさなどのSEO効果をもたらします。スピーディーさからくる頻繁な更新や記事のリライトのサイクルを回せば、サイト全体のフレッシュネスの担保にもつながります。低品質の記事の大量生産でない限りは、質の良いコタツ記事の量産がSEOにも効果的です。

制作コストを抑えやすい

コンテンツ制作には、外注費や運営費などのさまざまなコストが発生します。例えば取材記事を製作したい場合、取材先のアポイントメント取り、移動費、宿泊費、交渉費などの金銭的・時間的コストが必要です。また、インタビューや取材記事の執筆ができるライターの確保も検討しなければなりません。採用面や管理面でも、さまざまな負担が発生します。

一方でコタツ記事は、インターネット上の統計データ、執筆者の専門知識、運営者側のデータやアンケート調査などの既存の情報で執筆できるため、制作にかかる費用や時間などのコストを抑えやすいメリットがあります。取材・インタビューの工程を省けることから、ライターへの依頼料といった人件費を節約できるのもコタツ記事の利点です。

専門性や能力が高いライターを確保できれば、取材記事に引けを取らない質の良いコンテンツを、量産しやすい体制が整いやすくなるでしょう。

Webメディアは、予算面や維持費の関係でギリギリの運営になってしまうのは、これまでクライアントからよく耳にする話でした。そういった背景もあり、コストパフォーマンスに優れるコタツ記事は重宝されているようです。

コタツ記事制作に潜むデメリット

コタツ記事ならではのメリットがある反面、コタツ記事のイメージがいまいち良くならないのは、やはりコタツ記事だからこそのデメリットがあるからです。ここからは、コタツ記事に潜むさまざまなデメリットについて見ていきましょう。

不確かな情報を掲載するリスクがある

コタツ記事は、執筆時のルール設定やライターの力量がないと、二次・三次情報のみを参照したコンテンツとなる可能性が高くなります。これは不確かな情報源を参照にしたり、得た情報の精度の確認・検証を疎かにしたりすると誤った情報を掲載するリスクにつながり、後々大きな問題となります

「間違った情報が載っている」「情報の質が悪すぎる」といった評判は、コタツ記事の悪いイメージの中でも非常に多いものです。不確かな情報のコンテンツを公開してしまうと、メディアの信頼性は大きく揺らぎます。読者の購入・実行といった行動を促す情報だった場合、読者の健康を損ねたり不利益を生じさせたりなどの大問題となるでしょう、

不確かな情報の掲載における事例として、Webライターの間でとくに有名なのは「WELQ(ウェルク)問題(WELQ騒動)」です。WELQ問題とは、ある大手企業が運営していた医療情報サイトに掲載されたコンテンツの正確性や品質が問題視され、メディアそのものがすべて非公開となった出来事です。東京都の福祉保健局健康安全部まで動く事態となりました。

WELQ問題に関する私の感想は、「コタツ記事の悪いところがすべて出てしまった」というものです。WELQ問題で起きたことをまとめました。

  • 医学的根拠のない情報が大量に掲載されていた
  • 医学的知識のないライターや監修者によってコンテンツが制作されていた
  • 他のWebサイトから無断転載したコンテンツが多数存在した
  • 薬機法違反とみられるコンテンツが多数存在した

結果としてWELQ問題はGoogleのSEOにも大きな影響を及ぼし、医療を始めとするYMYL分野の執筆に専門性と正確性が必要となるきっかけとなりました

WELQ問題以外の事例としたは、芸能人の年収・恋人などに関する何の信憑性のない情報が載せられたPV稼ぎの「いかがでしたかブログ」が有名ではないでしょうか。ほぼ正確な情報が載っていないいかがでしたかブログは、SEO汚染の例としてGoogle検索ユーザーからも非常に評判が悪いものとして扱われています。

コタツ記事は制作コストが抑えられる反面、ファクトチェックや情報量についてしっかりとチェックしなければなりません。

オリジナリティが乏しい低品質のコンテンツでSEOに悪影響が出る

インターネット上の二次・三次情報のみを参照にしたり、ライター自身の知見・経験を入れていない文章だったりするコタツ記事は、競合メディアと似たりよったりの内容に仕上がるケースが多くなります。オリジナリティが乏しい記事はGoogleから評価されづらく、検索順位が下がる可能性が上がります。Googleからコピーコンテンツとして判断されると、メディア全体の評価が低下するかもしれません。

そもそもオリジナリティの乏しいコンテンツは、読者へ適切なユーザー体験を提供できず、読者の離脱率上昇を招いてしまいます。ユーザーが回遊しないサイトは、SEO的にも評価されづらいです。

WELQ騒動以前と異なり、いくらオリジナリティのない低品質なコタツ記事を量産しても、サイトの圧倒的なドメインパワーなどがない限りGoogleから評価されるのが難しい時代となりました。Googleから評価されるには、コンテンツの独自性が重要です。コタツ記事を執筆するときは、独自性のある切り口や内容を入れ込むことが効果的になるでしょう。

モラル面で問題が出る可能性がある

取材なしのコタツ記事でWebメディアに成果が出てしまうと、「多少不正確な内容でもPVが稼げればよい」「収益が出ればどのような記事でも取材は必要ない」と、クオリティよりも収益を優先してしまう思考に陥るケースも少なくありません。モラル面での問題が噴出した代表的な事例が、前述したWELQ騒動だと言えます。

たとえコタツ記事であっても、コンテンツの質や情報の正確性を担保するのは大前提です。成果ばかりを追い求めて、WELQ騒動の二の舞いになってしまうことは避けなければなりません。

コタツ記事に対するメディアやライターの反応

コタツ記事についての意見論評は、さまざまなメディアやWebライターの間で行われています。ここからは筆者自身の見解も踏まえながら、コタツ記事に関するさまざまな反応をまとめてみました。

NHKねほりんぱほりんの「あるこたつ記事ライター」

人気タレントの山里亮太氏とYOU氏がインタービュアーとなり、ゲストへ「ねほりはほり」聞いていくがコンセプトのNHK番組「ねほりんぱほりん」にて、コタツ記事ライターについて放送されました(2021年1月13日)。当時Xをやっていた筆者も、リアルタイムで視聴したのを覚えています。

「看護師やOLになって体験談を捏造するライター」「とある医療メディアの問題(おそらくWELQ問題)」など、Webライター界隈でも闇とされる部分に焦点が当たった内容です。筆者自身も見聞きや体験したことも多く、あるあるだなぁ…と思いながら視聴しました

Webライターあひる
体験談の捏造や根拠のない数字ぶち上げの依頼は、駆け出しの頃に何度か来ました。怖かったので全部断りましたけども。

メディアやライターの間でも反響は大きく、日本の有名ネットニュースJ-CASTの記事でも、「自らが書いた記事のアクセス数が上がることにいつしか無上の喜びを感じるようになった筆者ではあるものの、番組中でのヒロコさんの発言には、我に返る要素があったことは否めない。」と締めくくられています。

Workshipに寄稿された元こたつ記事ライターの考察

日本最大級のフリーランス・副業メディアと銘打つ有名メディア「Workship MAGAZINE」には、同メディアの3代目編集長(2023年11月時点)である齊藤颯人氏によるコタツ記事の考察が掲載されています。

こちらの記事では「悪いのはコタツ記事そのものではなく、低品質なコタツ記事である」と論理を展開しています。オリジナリティがある、エビデンスに基づいた役に立つ記事であるならコタツ記事でも問題なく、いくら取材を重ねても独自性や正確性がないなら低品質な記事であると結論付けていました。

この意見は筆者も同意です。Webライターにとって大切なのは取材の有無ではなく、コタツ記事だろうが取材記事だろうが、読者の役に立ちクライアントにも貢献できる記事を執筆することだと思います。取材が必要なのに取材しないのは、また別の問題ですが…。

有名新聞社の元社長のコタツ記事への見解

元日刊スポーツ新聞社の社長を務めた三浦基裕氏は、文春オンラインにて「最近のスポーツ紙のWeb記事の多くが、他媒体や著名人のSNSからのパクリ記事になっている」「人のふんどしでコタツ記事を量産するメディアは、もはや報道機関と呼べず情報の信頼性も失われている」と、コタツ記事を強烈に批判しています。

直接取材の難しさや活字メディアを取り巻く環境に理解を示しつつも、PV数や売上を優先するあまりメディアの進むべき道を外していると憂いていました。

こちらは、コタツ記事の負の側面をズバッと断罪した意見となっています。検索上位を狙うSEO記事とは状況が異なるものの、こうした金言もライターとして受け止めていかなければならないと思いました。

Webライターが質の高いコタツ記事を執筆するためのコツ

コタツ記事とWebライターの仕事を考える上で、1年目から私が心に残っている1文があります。『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング(唐木元)』の1口メモのところです。

外出取材なしに書かれた原稿を「コタツ記事」と揶揄する向きもありますが、妥協せず事実を収集できていれば、気にかけることはありません。

『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』P27より

この言葉は、Webライター駆け出しだった頃の筆者に勇気を与えてくれました。

外出取材はマストではなく、大切なのは有益な情報や魅力的な情報を、嘘偽りなく読者へ届けることだと述べられています。私もこの意見に概ね同意で、コタツ記事であってもクオリティの高い記事を執筆することは可能だと思います。

外出しての取材はあくまで手段の1つであり、マストではないのかと(必要性があるなら当然すべきだとは思いますが)。ここからは筋金入りのコタツライターである筆者が、質の高いSEO記事を執筆するためのコツをまとめました。

実体験や知見を入れる

読者の役に立つものやGoogleから評価される内容のコタツ記事にするには、コンテンツのオリジナリティが非常に重要です。独自性ある情報なら、Webライター自身の実体験や知見を入れるのがよいでしょう。自身の実体験や知見は、他のWebライターには真似できないオリジナル情報だからです

とくにYMYL分野のSEO記事なら、金融、税務、保険、経営、不動産、医療などに関する実務経験や知見を入れられるのは非常に効果的です。権威のある資格を取得していれば、監修者の仕事につながる可能性もあります。

私の場合だと、製造系の記事を書くときに工場勤務や機械オペレーターの実体験を入れて執筆します。他にはフリーランスの経験や確定申告の実体験、その他社会人経験を入れることが多いです。

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科学的・具体的な根拠や信頼できる情報元を基に執筆する

WELQ問題で見られたように、コンテンツの情報源が不確かなまま参照にしてしまうと、メディアの存続にかかわる大きなトラブルに見舞われるリスクがあります。Webライターがコンテンツを制作するときは、科学的・具体的な根拠や信頼できる情報源を基にした執筆を意識しましょう。

例えば私の場合だと、お金関係の記事を書くときは国税庁・金融庁・財務省の公式サイト、統計局のデータ、大手保険会社や公益社団法人のアンケート調査などを活用します。転職やビジネス系の記事なら、独立行政法人や補助金の公募要領、企業の財務データなどが挙げられます。

逆に経験・知見がなく、正確なエビデンスの見極める力が不足していると感じる医療系の記事は、今まで執筆を断ってきました。「自分では執筆が難しいと感じる分野」に関しては、そもそも仕事を受けないスタイルです。

信頼できる情報源を基にしたエビデンスのある記事は、SEO的な効果だけでなく、読者からの信頼獲得にもつながるでしょう。

メールや電話で問い合わせをした内容を入れる

外出する取材が難しい方であっても、メールや電話での問い合わせなら自宅で執筆するコタツ記事に取材内容を入れられます

例えば筆者の場合だと、税務関係の記事を書くときに税務署、クレジットカード系の記事を書くときにクレジットカードの電話窓口、転職系記事を書くときに転職エージェントの電話窓口に問い合わせをしたことがあります。

インターネット上の公式サイトでいくら探しても見つからなかった情報が、問い合わせした結果すぐに情報を得られたというケースは珍しくありません。コタツ記事への信頼性や独自性を担保する意味でも、もしメールや電話での問い合わせができそうなら、一度挑戦してみることをおすすめします。

Webライターあひる
最近はWeb会議システムなどを活用して、遠方の方にも自宅やオフィスからインタビューができる時代になりました。

コタツ記事を書くなら質を担保できるWebライターになろう

悪い評判も多いコタツ記事ですが、信頼性のある情報や内容の濃い文章といった高品質な記事であれば、コタツ記事でも読者やクライアントへ利益を提供できると筆者は考えています。「コタツ記事しか書けないから駄目だ」と落ち込むのではなく、「質の高いコタツ記事を書くにはどうすればよいのか」に意識を向けることが大切です

もちろん、外出取材に対応できるライターになれるに越したことはありません。コタツ記事ライターを極めるのも、取材できるライターになるのも、あなたのキャリアデザイン次第になります。

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